外来種の規制について

id:kensuke_nakataさんより昆虫の外来種の問題についてコメントいただきました。ありがとうございます。外来種規制の重要性について再認識しました。
1999年に植物防疫法が改正されて輸入規制が緩和されたために多くの外来種が移入するようになったそうです。そういえば、ヘラクレスの値段がその時期に暴落したという話を聞いた事があります。でも、そもそも何で規制緩和が行なわれたのでしょう?
日本昆虫学会を始めとする複数の学会からの経済産業省への要望書には、

2.安全性評価のための専門家委員会を設置すること
 輸入許可申請のあった外国産種に関して、有用植物に対する害虫化の可能性を科学的に評価し、輸入の可否を検討するために、有識者からなる専門家委員会を設置する。輸入の可否判断にあたっては、害虫化の可能性が高い種はもちろん、安全性が不明な種も予防原則に基づき、輸入は許可しない。

という項目が入っており、現在の輸入許可種についても再調査をするべきだと提案しています。
恐らく、在来生息種への影響を最大限考慮するならば、生きている外来種の持ちこみを一切禁止すべきだとする過激な意見を持っている方もいるのではないでしょうか。「有用植物に対する害虫化」というのは、妥協ラインとしての提案なのかな、と感じました。
クワガタを本格的に飼育している方を知っているのですが、その方によれば、純粋な国産種というのは人気があるのだそうです。国内の場合にも自然生息地からの持ち出しは、外来種と同様の危険性があると思います。こちらの規制はどうなっているのでしょう。
植物においては、外来種との交雑による品種改良も行なわれています(この辺、勉強不足です。農学系の方ツッコミお願いします)。果ては青いバラのような遺伝子操作した植物も次から次へと生まれています。これらは「生態系への影響を調査」したあとには、一般に開放されることでしょう。これは、自然を管理する、自然を利用する、という思想からくるのだと思うのですが、この流れ(もしくは変化)は止められるものではないでしょう。「人為的関与を排除した自然」なるものは実現不可能だと思います。しかも、人が一切立ち入る事ができない自然を、人が本当に望んでいるかも疑問です。
ああ、話がずれてきました・・。
そうそう、養老孟司さんの本はあまり読まないのですが、著書の中に時計を分解する話が出ていたのが印象に残っています。子供の頃に、時計の不思議さに引かれて、無我夢中で分解して、たくさんの歯車の存在を知り、興奮した。部品をすべて分解し終えて、元に戻すことができないことに気付き、途方にくれてしまったというエピソードです。好奇心から生命科学に踏みこんでいってしまう自分たちの業を連想してしまいました。
ほとんどまとまりのない話になってしまいました。いかに勉強不足、消化不足かということですね。お許し下さい。少しずつ、形にしていきたいと思います。

植物防疫法に基づく外国産昆虫の輸入規制緩和に対する要望書(日本昆虫学会自然保護委員会)
http://wwwsoc.nii.ac.jp/entsocj/2002/02-006-c.htm