偽札

年末年始にかけて大量の偽札が見つかっているそうですが、ちょうど正月休みに真保裕一の「奪取」を読んでいたので、タイミングの良さにびっくり。

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(上) (講談社文庫)

奪取(下) (講談社文庫)

奪取(下) (講談社文庫)

本書は3部構成になっていて、主人公が偽札作りに情熱を燃やしていく犯罪小説ですが、主人公を取り巻く人々も魅力的で、テンポも良いので一気に読めました。第1部から第3部へと進むにしたがって、偽札造りの技術も格段に上昇していき、そこまでやるか、というレベルにまでなります。偽札造りの薀蓄も面白いのですが、文体が軽いので思わず読み飛ばしたくなるほどスピード感がある娯楽小説です。
主人公は「本物と寸分違わぬ偽札を作れば、偽札はもはや偽札ではなくなる」と完全犯罪に情熱を燃やすわけですが、読み終わって感じたのは、本気で偽札を造ったらコストが合わないだろう、ということでした。