企業と研究者の関係

The p53 tumour suppressor gene and the tobacco industry:research, debate, and conflict of interest
Bitton A, et al. The Lancet. Early Online Publication.

Medwaveで紹介記事がありました。

タバコ業界が雇った研究者らが、p53の変異と喫煙の関係を弱めるための研究を行っていたほか、学術雑誌の編集者が、タバコ業界との密接な関係を隠しながら、タバコ会社に有利な研究論文に発表の機会を与えていた。業界の一連の反応は、喫煙と発癌を関連づける研究結果が最初に発表されたときと同様だった。大金を投じて自分たちに有利な研究を支援し、相談役を雇った。すべては、タバコの害をより少なく見せるためだった。

科学論文の内容が真実か否かは読む人間が判断することであり、間違っていると思えば、反論すれば良いだけである。ただし、研究者が真実でないと分かっていながら故意に誤った研究成果を発表するのは、科学の発展にとって「百害あって一利なし」である。他人から与えられた結論を出すためだけに行なう研究が、研究者にとって真の情熱の対象になるはずがない。
このような仕事は企業研究者であれば必ず降りかかってくるものであり、アカデミアでも似たケースはいくらでもあるだろう。なるべく「君子危うきに近寄らず」でありたいし、できることならば何歳になっても良心を持って研究を続けたいものです。