体外着床

子宮内膜から幹細胞、新治療「体外着床」に道(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040324i307.htm

「体外着床」と言う言葉は初めて見ました。そこで、ネットで検索したものの、あまり引っかかってきません。
ただ、農業生物資源研究所でウシにおいて体外受精の成功率を高めるための研究として生体外着床モデルが紹介されていました。要するに、体外受精させた受精卵の一時的な「ゆりかごと」して、組織工学的に作られた組織シートを用いる方法です。
胚盤胞移植について過去に言及したとおり、体外受精の成功率が低い理由として、体外受精後すぐの受精卵を子宮に戻しても着床率が低いことが挙げられます。胚盤胞移植体外受精させた受精卵を、発生がやや進んでから子宮に戻す方法で、着床率があがる一方で胎盤を共有する双子が生まれる可能性が懸念されています。
体外着床法は、体外受精させた受精卵を、再構成した子宮内膜に着床させてから、子宮内膜ごと子宮に戻すことで着床率が大きく改善する、ということなのだと思います(間違っていたら、ぜひ突っ込んでください)。
今回の発表は、分化能をもつ幹細胞をマーカーで同定・分離できた、という点が大きいのであり、実際の「体外着床」は、まだまだ遠い道のりということなのでしょう。
もしかすると遠い将来には、体外受精した赤ん坊がニワトリの卵のような人工子宮から生まれるようになり、女性が出産という命がけの行為から解放される日が来るのかもしれません。しかし、その過程において多くのかけがえのない命が犠牲になります。生殖医療、再生医療の研究は、生命倫理の研究との両輪走行で進まなければ、様々な悲劇を生むことになるのではないでしょうか。

生体外着床モデルの開発(農業生物資源研究所
http://trg.affrc.go.jp/pdf/03-0908-13.pdf
受精卵はヒトか否か
http://homepage2.nifty.com/jyuseiran/index.html