ALSとRNA-editing

RNA editing and the death of motor neurons(Nature)
http://www.nature.com/

ALS発症の仕組み、東大グループが突き止める(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040226ic01.htm

難病のALS、神経細胞の構造に違い 東大グループ発表 (朝日新聞
http://www.asahi.com/science/update/0226/001.html

2月26日付Natureに掲載されています。
なんだか、最近、日本の神経変性疾患研究が元気だ。かなり国も力を入れているからなあ。

内容は、ALS患者の運動神経細胞を調べたところ、AMPA受容体のサブユニットであるGluR2において、Q/R部位のRNA-editingが生じている割合が低下していることを報告している。
ALSにおいてAMPA受容体に何らかの異常が生じていて、細胞毒性を生じている可能性は指摘されており、モデルマウスなども作られている。実際の患者の組織を用いて証明したことが大きい。データもきれい。
今回の報告で重要なのは、その異常が脊髄運動神経細胞でのみ観察され、小脳プルキンエ細胞などでは起きていない点である。部位特異的にRNA-editingに異常が生じている可能性が指摘されている。また、同じ患者の運動神経でもeditingが生じている割合に幅がある点も興味深い。これが経時的な変化の幅なのか、各細胞が受けた刺激の違いなのか。

今回の実験で用いられたlazor microdissectorは、顕微鏡下で 病理切片の任意の部位をレーザーで切り取り、蛋白化学や核酸化学に供することが可能な技術です。
ある先生が、「病気を研究するなら、その患者の症状や組織を出発点にしなければ、全ては机上の空論になる」とおっしゃっていたのを思い出します。