Pelizaeus-Merzbacher disease

判決によると、夫婦は1992年、運動障害などを伴う中枢神経症のペリツェウス・メルツバッヘル(PM)病の長男をもうけた。その後、同協会が運営する児童福祉施設の医師に相談した際、「兄弟にはまず症状は出ない」と説明され、その後の出産を決めたが、99年に生まれた三男がPM病だった。

ペリツェウス・メルツバッヘル(PM)病を知らなかったので調べてみました。

疾患の概要
Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)は、乳児期に出現する眼振と頭部の振戦を特徴とするX連鎖劣性遺伝病。白質ジストロフィー症の1型。X染色体上のPLP1遺伝子の異常による中枢神経のミエリン形成異常が原因。興味深いことに、本疾患はPLP遺伝子の発現低下と過剰発現のどちらもが原因となりうる。PLP1遺伝子の重複と欠失を有する例は、FISH法で迅速に診断が行える.患児で診断が確定すれば、十分なカウンセリングのあと出生前診断も可能。
発症機序
PLP1遺伝子は中枢神経のミエリン蛋白を規定する。遺伝子変異や遺伝子欠失によりミエリン蛋白が産生低下が原因と考えられていた。1996年、遺伝子が同一X染色体上にタンデムに並んでいる遺伝子重複も本疾患の原因であることが判明した。したがって、ミエリン蛋白がつくられなかったり、逆に過剰に作られたりすることで、ミエリン化遅延をきたす本症が発症すると考えられている。PLP遺伝子を多コピー導入したトランスジェニックマウスでも、細胞死による脱ミエリン化と重篤神経症状がみられている。ヒトの剖検所見では脳の脱随は一様ではなく、ところどころ島状のミエリン形成領域が残る。遺伝子変異・欠失・重複の各遺伝的タイプの割合は、それぞれの15-20%、2%以下、50-75%と重複例が過半数を占める。この3種に該当しない原因不明のPMD例が5-20%ある。(誤字修正)

責任遺伝子を同定した論文はこちら。

A cellular mechanism governing the severity of Pelizaeus-Merzbacher disease.
Gow A, et al. Nat Genet. 13(4):422-428. Aug, 1996.(Link)