NRSEとNRSFがややこしい

A Small Modulatory dsRNA Specifies the Fate of Adult Neural Stem Cells
Kuwabara, T., et al. Cell, Vol 116(779-793) March 19, 2004
http://www.cell.com/content/article/abstract?uid=PIIS009286740400248X

ずっと気になっていた論文をやっと読みました。id:Y-shimaさんの記事でとても丁寧に取り上げられているので要旨は省きます。ところで論文にきれいなモデル図が書いてあっても、やっぱりメカニズムがイメージしにくいです。もちろん原因は、NRSFがNRSE dsRNA存在下でもNRSEと結合しているというデータのため。
repressorとして働いているNRSF複合体がdsRNAとの結合によりクロマチンから一度遊離して、その結果クロマチン構造が変化し、その後にNRSFが今度はactivator複合体を形成して再度結合する、と考えたほうが分かりやすいと思うのだけれど。あと、miRNA pathwayは、このメカニズムになんらかの関与はしているのではないのでしょうか。というのもNRSEのdsRNAが、はじめはpre-miRNAとして発現しているのだとすれば、当然miRNA pathwayに捕捉されてしかるべきだと思うので。そうすると、miRNA pathwayからNRSFへの引渡しが行われて核内に移行するのか?それとも、miRNA pathwayを介さずに21 ntのdsRNAが生じているのか。
想像力をかきたててくれる、いい論文でした。でも、(当たり前なのですが)NRSEとNRSFの記述が散りばめられているために、どっちがどっちか混同しがちで、めちゃくちゃ読みづらかったです。

脳の神経細胞形成を制御する新RNA発見…産総研
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20040319it05.htm